1. 分煙という言葉の浸透
我々トルネックスが分煙に取り組んで約35年になります。事業を取り組んだ当初は、まだ男性の喫煙率が50%を超えており、当時は「分煙」という言葉も世の中に浸透されていませんでした。オフィスでも自席でタバコを吸うのが当たり前、飲食店でもテーブルで喫煙できる店が多く、電車のホームにも多く灰皿が設置されていました。
近年、健康意識の高まりと受動喫煙対策の重要性から、分煙が浸透し、いつしか喫煙率も20%を下回る中、2020年4月の改正健康増進法が全面施行され、多くの施設やオフィスで分煙対策が必須となっています。
「分煙」とは、喫煙者と非喫煙者の空間を分けることで、たばこの煙による健康被害を防ぐ取り組みです。単に喫煙所を設けるだけでなく、適切な換気設備の設置や喫煙可能区域の明確な区分けなど、様々な対策が必要となります。
本記事では、分煙の基本的な知識から具体的な実践方法まで、事業者や施設管理者の方々に役立つ情報をご紹介いたします。近年の法規制に対応しながら、喫煙者と非喫煙者の双方に配慮した快適な環境づくりを考えましょう。
2. 分煙の基本知識
2-1. 分煙の定義と目的
分煙とは、喫煙場所と非喫煙場所を物理的に分離し、たばこの煙が非喫煙場所に流れ込まないようにする対策のことです。主な目的は、非喫煙者の健康を受動喫煙から守ることにあります。
世界保健機関(WHO)の報告によると、受動喫煙による健康被害は世界中で年間約100万人の命を奪っているとされています。たばこの煙には5,300種類以上の化学物質が含まれており、そのうち約200種類が人体に有害物質が含まれているということが分かっています。
効果的な分煙を実現するためには、単に空間を仕切るだけでなく、適切な換気システムの導入や、喫煙室の配置、空気の流れなども考慮する必要があります。特に、喫煙室から非喫煙場所への空気の漏れを防ぐため、喫煙室内を負圧に保つことが重要です。
2-2. 分煙の種類と方法
現在、一般的に実施されている分煙方法には以下のようなものがあります。
- 空間分煙:壁や扉で完全に区切られた喫煙専用室を設置
- 時間分煙:時間帯によって喫煙可能時間を制限
- 完全禁煙:建物内での喫煙を全面的に禁止し、屋外に喫煙所を設置
最も多くご相談頂くのは空間分煙で、特に完全密閉型の喫煙室の設置については、トルネックスにてコンサルティングさせて頂いています。
2-3. 法律での規制状況
2020年4月から全面施行された改正健康増進法では、多くの施設が原則屋内禁煙となりました。特に学校や病院、行政機関などの第一種施設では敷地内も原則禁煙です。飲食店などの第二種施設でも、一定の基準を満たす喫煙専用室でなければ喫煙が認められません。
3. 分煙対策の実践方法
3-1. 効果的な分煙スペースの作り方
改正健康増進法に適した分煙スペースを作るためには、以下の3つのポイントが重要です。
- たばこの煙が室内から室外に流出しないよう、壁、天井等によって区画されていること
- たばこの煙が屋外又は外部の場所に排気されていること
- 喫煙所の出入口において、室外から室内に入ってくる空気の流れ(進入風速)が「0.2m/s」以上であること
特に進入風速については、喫煙所の出入り口を開口した状態で、中央部の上中下の3か所について3回ずつ風速を測定し、それぞれの平均値が0.2m/sを超えなければなりません。
3-2. 喫煙場所の候補により必要な設備と費用が変化
まず、喫煙所を設置するにあたり、候補場所を考えましょう。
部屋として喫煙に使える空間がある場合
候補場所として部屋がある場合、まずは屋外へ排出される換気扇があるかどうかを確認する必要があります。
換気されている場合は、出入口の進入風速がどのくらい出ているのかを調べるにあたり、専用の測定器が必要となりますので、分煙関連メーカー等に相談の上、調査を依頼してください。
部屋は無いが、一定のスペースがある場合
利用できる部屋はないがある一定のスペースがあり、換気扇の増設等ができない場合、改正健康増進法では、経過措置として脱臭機能付きの喫煙ブースの利用が認められています。
メーカーを調査し、設置環境に合った機器を選定しましょう。ただし、この経過措置には条件があり、改正健康増進法施行前に建てられ、運用されている建物というのが前提となります。
今の施設が2020年4月1日以降に建てられた建物の場合、脱臭機能付きの喫煙ブースが利用できないケースがありますので、メーカーに相談しましょう。
3-3. メンテナンス方法
効果的な分煙環境を維持するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。主な作業として以下のものがあります。
- 定期的なフィルターの清掃・交換
- 換気扇の清掃
- 室内天井や壁、床の消臭・清掃
設備のメンテナンスはもちろん、換気扇の清掃、天井面や壁面等の清掃は、ビル管理会社でも行っていない場合がありますので、専門の清掃会社に相談するのが良いでしょう。
過去のご相談案件
以前、某オフィスビルの管理責任者より過去にしっかりと分煙対策を行ったのに 問題が発生してしまっている、とご相談を頂きました。換気設備も整備し、進入風速も十分な量を確保しており、当時導入した分煙機も定期的にメンテナンスもしているが、喫煙所付近の廊下にニオイが漂っており、臭いと声があがっているので何とかして欲しいというご依頼でした。
訪問すると確かに廊下にニオイが漂っており、しばらく喫煙所を見ていると喫煙者がとても多く、ひっきりなしに人が出入りする喫煙所でした。設備もしっかりと入れているなら問題なさそうなのに・・と思い、喫煙所に入ると、過去からの喫煙所で天井や壁面が酷く汚れており、2分ほど喫煙所で調査して出てくると、喫煙もしていないのに体からタバコのニオイを感じました。
その後、その旨をご説明し、まずは喫煙所内の清掃をしっかりと入れることをご提案し、トルネックスにてクリーニング作業を実施、その際換気扇もしっかりと清掃することで換気量も上がり、結果、廊下のニオイも減少したことがあります。
どうしても設備面にとらわれやすい喫煙所ですが、部屋全体の定期的なメンテナンスも重要です。適切な換気設備を備えた喫煙室を設置し、メンテナンスを行うことで喫煙者、非喫煙者の双方から「快適」だと評価を得らえる喫煙所の設置を目指しましょう。
最後に
今後も法規制の強化が予想される中、計画的な分煙対策の実施が求められています。まずは情報が多く集まる分煙対策製品メーカーやタバコメーカーにご相談の上、環境に合った喫煙所の設置を実施しましょう。
本記事が皆様の分煙対策の一助となれば幸いです。
分煙コンサルならトルネックス
専任のトルネックス分煙コンサルタントがお客様のお悩みに答えます。「効果的な喫煙スペースを作りたい」「改正健康増進法の対策が行いたい」「喫煙室の煙やにおいの漏れを防ぎたい」など分煙のお悩みは色々あると思います。
トルネックスは、約35年に渡って分煙ソリューション専門メーカーとしの経験を活かし、最新の分煙対策のご提案・ご相談を無料で行っています。
ご検討されている施設の場所に合わせて、改正健康増進法の基準に適合した喫煙専用室や指定たばこ専用喫煙室へのご提案を無料で行います。
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